和菓子街道 東海道 二川

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駒屋に眞砂屋、古い面影残す二川の宿

 白須賀から国道沿いの味気ない道をひたすら進み、新幹線の高架を潜って、JR東海道本線の線路を越えると、二川宿に辿り着く。東町、新橋町、中町、東郷内と続く二川の町は、旧道に沿って江戸時代の町割りがほぼそのまま残っている。

 味噌造りの駒屋や元旅籠の眞砂や屋など、格子造りの民家も多い。情緒溢れる町並みの中でも、宿場の中心地だった中町にある本陣は江戸時代のままの姿を留めている。後藤家、紅林家、馬場家と引き継がれた本陣は、現在では資料館として一般公開されている。

 旧東海道ではこの二川と草津の本陣のみが原形を保っていることもあり、貴重な歴史的遺構として訪れる人も多い。土・日・祝日には本陣主屋座敷でお菓子付のお茶を頂くことができる(一服300円)。また、05年からは、隣接する旅籠清明屋を増設・改築して併せて公開している。

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その他のおいしい立ち寄り情報

中原屋
  菓子: 麩餅(1個110円)他
  住所: 愛知県豊橋市二川町中町87
  電話: 0532-41-0041
  営業時間: 8:00~19:00 (日曜は~15:00)
  定休日: 月曜日

 二川宿中町の西、道が鍵の手になる手前の高札場跡に店を構える中原屋は、創業80年ほどで、この辺りでは比較的古い和菓子屋と言える。宿場町を意識して、最近になって昔風の黒い板壁に改築したばかりのこの店の当主は、現在3代目。二川本陣資料館に展示されている「白須賀の柏餅」の模型も、中原屋のご主人が高力猿猴庵編『東街便覧図略』などの文献を基に再現したものを参考に、蝋細工化したものだ。

 江戸時代、柏餅は白須賀から二川にかけての名物で、弘化4年(1847)~嘉永5年(1852)刊の広重の『東海道五十三次(隷書東海道) 二川』にも「名物柏餅」の看板を掲げた茶屋で旅人が柏餅を頬張っている様子が描かれている(画中左端)。しかし、二川の柏餅は「名物にうまいものなし」を具現化したようなまずいものだったとの悪評がある。

 「たぶん、昔は砂糖なんか貴重で手に入らなかったから、餡も味がないか、むしろ塩でも入れて味付けしてあって、しょっぱかったのではないでしょうか。二川を通りかかったお殿様が食べて、こんなまずいものが食えるかっ、と投げ捨てたとまで言われています(笑)」
とご主人。

 絵画に見られる柏餅は、今と同様、柏の葉に包んであるので、見た目は似たようなものだったが、味はまるで違ったのではないかという。

 「昔はこの辺りでは、どこの家でも柏の木の1本や2本は植えてあったんです。うちも今でこそなくなってしまいましたが、以前は庭に柏がありました。恐らく、江戸時代には、茶店はもちろん、家庭で柏餅が作られていたんでしょうね」(中原屋ご主人)

 実際、今でこそ季節になると柏餅は飛ぶように売れるが、一昔前まではあまり売れなかったのだという。わざわざ菓子屋で買うまでもないものだったのだろう。

 中原屋で柏餅が販売されるのは3月から5月初旬にかけてだが、年を通して最も人気が高いのは、なんといっても「麩餅」だ。強力小麦粉に水を加えてよく練り合わせ、更に水で揉み洗いしてしばらく水の中に置いておくと、小麦蛋白質つまりグルテンが残る。これが生麩で、麩餅はこの生麩で餡を包んだものである。

 麩餅、または麩饅頭は特に珍しいものではないが、中原屋の場合、中の餡が少し特徴的だ。さらっとした甘さ控えめの漉し餡で、麩餅を切ると中からとろっと流れ出てくる。まるで、冷やし汁粉を生麩の中に封じ込めたようだ。

 山帰来の葉に乗せられた麩餅は、弾力があってもちもちっとしている。春には生麩に蓬を練りこんだ蓬麩餅、夏には梅餡を入れた麩餅を紅紫蘇で包んだ梅麩餅など、季節の麩餅も登場する。この他、宿場町らしい名前の菓子も多種、取り揃えている。


(浮世絵とお菓子の写真をクリックすると大きくなります)

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futagawa-kashiwamochi.JPG昔の柏餅(復元)(豊橋市二川本陣資料館)
hiroshige-kashiwamochi.jpg歌川広重『東海道五十三次(隷書東海道) 二川』(豊橋市二川本陣資料館提供)
nakaharaya-fumochi.JPG中原屋の麩餅
nakaharaya-shukuba-sweets.JPG二川宿に因んだ菓子色々