和菓子街道 東海道 三島

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富士と大社の恩恵を受けて発展した三島

 東海道随一の難所、箱根峠を越えてきた旅人が疲れた足を休めた三島は、江戸時代には東海道11番目の宿場町として栄えた。無事に峠を越した旅人は、「山祝い」と称して三島宿で大いに羽を伸ばした。かつて宿場の中心地だった辺りは、今では商店街になっている。入り組んだ路地などが、この街が古くから発展していたことを窺わせる。

 市内に鎮座するのは、古来、伊豆一の宮として信仰を集めた三嶋大社。平安時代末期には源頼朝が源氏再興を願い百日参詣し、満願の日に旗揚げしたことはあまりにも有名だ。総欅素木造りの社殿は国の重要文化財に指定されている。大社の石の鳥居が描き込まれた広重の「三島」は、朝霧煙る三島を出立する旅人の姿が印象的な屈指の名作とされている。
     
 富士山の溶岩流上にある三島は、富士山の伏流水という恵みに溢れた街だ。溶岩の空洞から湧き出る清水は、100年という歳月を経て地上に顔を出す富士山の雪解け水。

 市内に散在する公園は、乾期には黒い溶岩が剥き出しになっているが、夏から秋にかけて富士山から下ってきた湧き水が噴出すると、一変して透明度の高い清らかな水を湛えた池のある庭園へと姿を変える。富士山から届いた水は、今も昔と変わらず人々の生活を支えている。

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 ・寄り道コラム

    富士山の伏流水について思うこと → click!

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その他のおいしい立ち寄り情報

福太郎本舗
  菓子: 福太郎餅とお茶のセット(200円)
       土産用福太郎餅1箱12個入(920円)他
  住所: 静岡県三島市大宮町2-1-5
  電話: 0559-81-2900
  営業時間: 8:00~17:00
  定休日: なし

 三嶋大社の境内に店を構えるのが、大社名物の福太郎餅を売る福太郎本舗。福太郎とは、福の種をまく老人のこと。五穀豊穣、天下泰平を祈願して毎年1月7日に大社で行われる「お田植え祭」の主人公だ。福太郎餅は、満面に笑みを浮かべた福太郎老人の顔を模っていると言われる縁起物。確かに、蓬餅が顔、漉し餡が髪に見えるような、見えないような…?土産用の箱入りもあるが、店内ならお茶と一緒に作りたての福太郎餅を味わうことができる。

(お菓子の写真はクリックすると大きくなります)

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桜家
  料理: うなぎ丼(吸物付、2枚2620円、3枚3360円)
       うなぎ重箱(吸物付、2枚 2620円、3枚3360円、4枚4200円)
       丼棚二段入れ(4510円)他
  住所: 静岡県三島市広小路町13-2
  電話: 055-975-4520
  営業時間: 11:00~20:00(売り切れ次第終了)
  定休日: 水曜日
  URL: http://sakura-ya.net

 三島駅に降り立つと、どこからともなく漂ってくる鰻の蒲焼を焼く香ばしい匂い。この街を散策していると、犬も歩けばではないが、いたるところに鰻屋を見つけることができる。そう、三島は鰻の街なのだ。

 しかし、実は三島では、元々は鰻を食用としていなかったという。この地では古くから鰻は三嶋大社のお遣いとされてきたからだ。徳川二代将軍秀忠が三島に泊まった折のこと。家臣のひとりが大社境内の神池に泳いでいた鰻を蒲焼にして食べてしまったことが知られ、翌日には町外れで磔にされたという逸話も残っている。神の遣いとして保護されていたことで、当時は桜川(下田街道沿い)をはじめ、三島を流れる清流の川にはたくさんの鰻がいた。

 時代は下って幕末の動乱期になり、食料に困った薩長兵が遠慮なく三島の鰻を口にしたことから、次第に三嶋大社が鎮座するこの聖地でも鰻が食されるようになっていった。やがて、富士山の雪解け水の中に遊ぶ三島の鰻はことのほか旨いと評判になり、その噂は江戸の方まで届くようになった。以来、三島には鰻屋が増えていったのだという。

 そんな鰻で名高い三島だが、残念ながら現在ではこの地での鰻の捕獲量は少なく、養殖も行われていないため、ほとんどの鰻屋が他の地方の養殖鰻を買い付けて営業を続けている。しかし、使用しているのは三島産ではないものの、「三島の鰻」の評判は今でも健在だ。

 その秘密は、江戸時代と同じく富士山の雪解け水にある。肌を綺麗にすると言われている「化粧水」と呼ばれるその硬水は、鱗のない鰻とは好相性。「化粧水」が肌のようにつるっとした表面によくなじむのだという。その「化粧水」で鰻を活〆(いきじめ、真水にさらすこと)にすることで、鰻は余分な脂肪を落として泥を吐ききり、身の引き締まった鰻へと生まれ変わるのだ。だから、鰻を捕獲しなくなった今の三島でも、おいしい鰻を食べることができるというわけだ。

 もっとも、鰻や活〆にする水の質が良いだけでは旨い鰻料理にはならない。そこでモノを言うのが、職人の技である。かつて鰻がたくさんいたという桜川から名をとったのが、安政3年(1856)創業の桜家だ。

 伊豆箱根鉄道三島広小路駅の近く、江戸時代には宿場内に時を知らせた時の鐘の横に店を構える桜家は、市内随一の鰻の老舗だ。旧東海道に面した店先に行列ができる日も少なくないが、鰻をひとりで焼いているのは五代目当主だ。

 桜家で使用しているのは、南アルプスの雪溶け水が流れこむ大井川で育った良質の鰻。それを、今度は富士の雪解け水に1週間放ち、活〆にする。蒲焼の味は八割がた、白焼きの状態で決まるといわれている。

 白焼きにして蒸しを入れてから、1200℃に熱せられた紀州備長炭でじっくりと焼かれた鰻はふっくらとしていながら、香ばしい。家伝のタレは、浜松風のこってりした甘辛ダレではなく、どちらかというと関東風で、醤油味が勝っている。煮詰めたという感じではなく、さらっとしている。

この絶妙な焼加減、タレの味を、先代は「かるみ」と称していたという。軽やかで、風味豊かで、飽きない味、といった意味合いだろうか。他の言葉では表現し得ぬこの「かるみ」こそが、桜家が代々受け継いできた味なのだ。

 出される蒲焼についているタレは少なめなので、物足りなければ、卓上に置かれた瓶の中に入ったタレを好みでたらして加減して。同じく卓上の山椒は、生の山椒の実を擂ったもの。そのため、深緑色でしっとりとしていて、香りも高い。かけすぎると舌も唇もヒリヒリしてくるので、ご注意を。

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sakuraya.jpg(料理の写真をクリックすると大きくなります)

旨いもの処 丸平
  料理: ランチ  手ごねハンバーグ(900円)、地場野菜いっぱいのカレー(950円)他
       カフェ 水だしコーヒー(530円)、手作りわらびもち(500円)他
      ディナー 地物野菜と鶏肉のロースト1050円)他
  住所: 静岡県三島市中央町4-16
  電話: 055-975-0068
  営業時間: ランチ  11:30~14:30 (LO14:00)
         カフェ   14:00~17:00 (LO16:30)
         ディナー 17:00~21:00 (LO20:00)
  定休日: 火曜日
  URL: http://mishima-maruhei.com/

※(取材時には「おにぎりカフェ 丸平」でしたが、2010年6月に「旨いもの処 丸平」としてリニューアルオープンした模様です。また同7月には「上うなぎ 丸平」もオープンしたようです。下記の記事は、取材時のままです。

 三嶋大社の西側、旧東海道沿いに、ちょっと目を引く古い店がある。古い商家の佇まいを見せるその店は、丸平商店。江戸時代から続く元金物屋だ。一時は宮家の沼津御用邸に窓用の板硝子を納めていたこともある店で、平成15年3月までは山本よねさん(当時81歳、平成17年現在もお元気です)がひとりで店を切り盛りしていたが、同年9月からは「おにぎりカフェ」として再スタートした。

 きっかけは、一人暮らしだったよねさんを心配して、東京で不動産業を営む長女が台所などの改築を思い立ったこと。どうせ改装するならと、どんどんアイディアが浮び、金物屋はレトロな雰囲気が漂うお洒落なカフェに変身。看板娘はよねさん…ではなく、東京から駆けつけた孫娘だ。今ではよねさんを支えながら、慶応年間築の建物を改築した自宅兼用のこの古い家屋に住んでいるという。

 明治から大正にかけて丸平金物店で実際に使われていた道具や雑貨などを展示した店内では、おにぎりの他にも、芳醇な香りのダッチコーヒーや、手作りデザートを頂くことができる。奥庭には、やはり慶応年間に建てられた土蔵があり、ギャラリーとして利用されている。蔵の中では、利き酒の会やミニ・コンサートなどのイベントが行われることも。

 現代の旅人も、母娘三代の優しさが形になったこのカフェで、峠越えの疲れを癒してはいかが?



(デザートの写真はクリックすると大きくなります)

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