和菓子街道 姫街道 御油

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姫街道の旅の終着点、御油・欠間

 日本三大稲荷の1社(残り2社は伏見稲荷大社、祐徳稲荷神社もしくは笠間稲荷神社)に挙げられる豊川稲荷は、室町時代に開創された円福山豊川閣妙厳寺の境内に鎮守として祀られた「豊川枳尼真天」の通称である。

 江戸時代には商売繁盛の神様として庶民の間で流行し、信仰は全国に広まった。今では寺としてより稲荷としての知名度の方が高いようだ。広大な境内には、千体以上の狐の石像が安置されている霊狐塚などがある。

 門前町は、天保13年(1842)に妙厳寺が稲荷を開帳したことにより、門前に旅籠や土産物屋が増えたことから形成されていった。明治以降の稲荷信仰の参拝者の更なる増加に伴い、一層の賑わいを見せるようになったという。

 今でも豊川稲荷を中心に放射状に広がる門前町には、名物の稲荷寿司を食べさせる食事処や土産物屋が連なり、賑わいを見せている。旅籠の名残と思われる古めかしい旅館も残っている。

 お稲荷さん門前町を一通り見物したら、姫街道に戻って旅を続けよう。もうここからは、旅の終盤に差し掛かっている。ただ、姫街道の歴史を伝えるようなものはほとんど残っていないのが現状だ。

 豊川市役所の辺りには、姫街道と呼ばれる幹線道路からは外れた辺りに松並木を思わせる背の高い松が連なっている箇所がある。もしかしたらこれがかつての姫街道だったのだろうかと近寄ってみたが、どうやら市役所敷地内に植えられたもののようだった。

 江戸から76里目、そして姫街道最後となるはずの一里塚が諏訪神社付近にあったというが、塚も、それらしい樹木も見当たらない。この辺りは車どおりが烈しく、姫街道の名にあまり似つかわしいともいえない道筋だ。さしたるイベントもないまま、淡々と街道を行く。

 八幡には現役の三河国分寺と、国分尼寺跡があるので、余裕があれば立ち寄ってもいいだろう。最近になって門などが復元され、史跡公園として整備されている三河国分尼寺は、聖武天皇の命により天平13年(741)に諸国に国分寺と共に建立された国分尼寺の中でも、最大規模のものだったといわれている。

 再びの寄り道から姫街道に復帰して、車道沿いを延々と歩く。丘のような勾配を上り詰め、下っていくと、やがて国府のバイパス付近で西明寺参道入口に差し掛かる。

 「西明寺」と書かれた石碑のある石垣の上の公園に入ってみると、「かげろうふの我が肩に立つ紙子かな」と詠む芭蕉句碑が見つかる。寛保3年(1743)に芭蕉没後10周年を記念して建立されたもので、東三河に残る最古の芭蕉句碑である

 バイパスの高架を潜って、更に歩道橋で名鉄の線路を跨ぐ。国道1号線を斜に渡って直進したいところだが、中央分離帯があるため、姫街道はいかにも不自然な形で分断されている。

 仕方ないので、少し迂回して追分交差点で国道を渡り、分断された先の姫街道に戻る。ここからほんの数十メートルばかり歩いたところに、姫街道の終着点、御油(欠間)追分が見えてくる。

 欠間の追分の目印は、秋葉常夜灯、「秋葉山三尺坊大権現道」の道標、そして砥鹿神社への道標だ。豊川稲荷や鳳来寺山、秋葉山、砥鹿神社への参詣道の分岐点でもあったこの追分は、それぞれの寺社への参詣者で大変な賑わいを見せていたという。姫街道が信仰の道でもあったことが、よく分る。

 ちなみに、ここから少し御油方面に向かって更に歩を進めると、「豊川社道」と書かれたものと、「なごや床中」と書かれた2基の道標を見つけることができる。おそらくかつては追分にあったものだろうと推測される。

 ともあれ、この追分で姫街道はようやく、見附宿で別れた東海道と再開する。旅もここで終了。古代の官道として多くの旅人を運んだ浜名湖北岸の鄙の道・姫街道は、大動脈の東海道に吸い込まれるように、すうっと姿をかき消していくのだ。

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その他のおいしい立ち寄り情報

豊川稲荷門前町いなり寿司(+うどん)紀行

 庶民の寿司の代表格、いなり寿司。いなり寿司の語源は、豆腐の油揚げが稲荷神の使いである狐の好物といわれるため、というのが一般的な見方。しかし、肉食の狐が豆腐の油揚げを好むということはない。

 元々は、狐の好物は豆腐ではなく、鼠の油揚げで、狐狩りにも鼠の油揚げが使われていたのだ。それが、いくらお狐様の好物とはいえ、稲荷神へのお供えに鼠の油揚げではどうも具合が悪いということで、見立てで鼠の代わりに豆腐の油揚げが供えられるようになったという。そのため、豆腐の油揚げを「稲荷」と呼ぶようになり、これに酢飯を詰めたものも「稲荷寿司」と呼ぶようになったのだ。

 また、鼠の油揚げ説とは別に、稲の神様である稲荷神への神饌として、豆腐の油揚げに酢飯を詰めて米俵を模したいなり寿司が供えられたことから、いつの間にか狐は豆腐の油揚げが好き、と転じてしまった、との見方もあるようだ。

 いずれにしても、豆腐の油揚げに酢飯を詰めたものが、いなり寿司。その誕生は、天保(1830~1844)の頃といわれている。江戸末期に記された百科事典『守貞謾稿』には、天保の末頃、油揚げ豆腐に木茸や干瓢を刻んで混ぜた飯を詰めて鮨として江戸でよく売られていたと記されている。

 天保の改革で倹約令が出されたため、魚を使った通常の寿司よりも安価に作ることができる寿司として、江戸の十軒棚(現在の日本橋室町辺り)にいた次郎吉という男が考案したといわれている(明治38年刊『絵本江戸風俗往来』より)。

 以来、安価で入手しやすい油揚げを使った寿司は、瞬く間に広まったという。当時既に、寿司は贅沢な食べ物であったため、手ごろないなり寿司といえども昼間はほとんど売れず、夜になるとこっそり食べる人が多かったのだとか。

 以上は江戸いり寿司発祥説だが、実はそれより以前に、既に名古屋辺りではいなり寿司が作られていた、という説もある。そしてその名古屋説の一端としてあるのが、豊川稲荷門前発祥説だ。

 豊川稲荷の神様は狐に跨って現れたので、きつねの好きな油揚げを供えたのが門前町のいなり寿司のはじまり、ということになっている。もっとも、これはあくまで「物語」であり、実際には豊川稲荷発祥ではないといわれているのだが…。

 ともあれ、江戸時代から豊川閣の門前で発展した町には、土産物屋に混じって、いなり寿司を食べさせる料理屋が数軒ある。みな、こぞっていなり寿司合戦に参加しており、それぞれ個性のあるいなり寿司を創作している。

 そこで、『和菓子街道』では豊川稲荷門前町のいなり寿司食べ比べを敢行。いなり寿司と共に、うどんやきしめんをセットにして出す店が多いため、今回はセットメニュー(一部、単品の組合せ)で紹介したいと思う。


(料理の写真をクリックすると大きくなります)

inari-yatai.jpg江戸時代のいなり寿司屋台の復元(江戸深川資料館)
reikoduka.JPG豊川稲荷の霊狐塚
monzenmachi.JPG豊川稲荷の門前町
kitune-senbei.jpg「きつね煎餅」は、子供の顔ほどもある大きな瓦煎餅。

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門前そば 山彦
  料理: 稲荷門前きしめん(995円)、いなほ稲荷ずし(7個630円)他
  住所: 愛知県豊川市門前町1
  電話: 0533-85-6729
  営業時間: 8:30~17:00 (売切れ次第終了)
  定休日: 木曜日
         (ただし、毎月1日、祝祭日、豊川閣大祭日は営業。大晦日はオールナイト営業)
  URL: http://yamahiko.net/

 豊川稲荷の正門前、門前町の入口に店を構える創業100年余りの「山彦」は、界隈でも一際人気の高い麺といなり寿司の専門店だ。看板メニューの「いなほ稲荷ずし」は人参、ひじき、椎茸、竹の子、クルミという5種類の具材を使った「御利益(ごりやく)」入り。「豊穣を祈って、“稲穂いなり”と名付けました」とは、三代目女将の山本芳世さんの談。豊川稲荷門前町でも一際人気が高く、持ち帰り用の折を豊川稲荷土産に求めて行く参拝者も多い。

 見た目は一般的な五目いなり寿司だが、「いなほ稲荷ずし」は作るのに実に手間がかかっている。時間が経ってもごわっと固くならないよう、油揚げの裏側のもそもそした部分をきれいに取り除き、しっかりと油抜きをする。醤油、砂糖、みろん、酒で40分ほど炊いて、熱いうちに油揚げを手で伸ばし、具材を混ぜた酢飯を詰めていく。

 油揚げはしっかりと味がついており、中の酢飯にほどよく馴染んでいる。酢飯は米粒が潰れないよう、ふっくらと握られており、口の中でほろほろと崩れる食感がよい。

 店内で頂く場合は、きしめん(または蕎麦)とのセットメニュー「稲荷門前きしめん(そば)」がお薦め。白醤油ベースのきしめんの汁は塩味がきつめで、細打ちのきしめんの量はかなり多め。のり、かまぼこ、人参の天婦羅、蓮根、葱と、具沢山なところは、きしめんとしては珍しい。きしめん、蕎麦ともに温かいものか冷たいものを選ぶことができる。

 セットの寿司は助六で、「いなほ稲荷ずし」ふたつと、干瓢巻きふたつがついてくる。店内で「いなほ稲荷ずし」を頼むと、7個もついてくるが、この「稲荷門前きしめん」のセットについてくる助六だけでも単品として頂くことができる(350円)。ちなみに、いなり寿司と巻寿司の詰め合せを助六と呼ぶが、これは歌舞伎『助六由縁江戸桜』の主人公・助六の愛人の名が「揚巻」であることに由来する。

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松屋
  料理: 開運いなり(700円)、開運きしめん(700円)、いなりドッグ(コロッケ150円、カツ200円)他
  住所: 愛知県豊川市門前町5
  電話: 0533-86-2825
  営業時間: 10:00~20:00
  定休日: なし

 豊川稲荷の門前町に戦前から店を構えて三代という松屋。この店の一番の名物はというと、美人女将・藤井智香子さんだ。3月~11月の第4日曜に開催されている門前町のイベント「いなり楽市」で、「女きつね」に扮して三味線を弾いてパフォーマンスをするのだが、美しいお顔にヒゲまではやして、陽気にはしゃぐその姿がまたかわいらしく、ファンも多い。

 そんな名物女将が明るく迎えてくれる松屋は、奥三河特産の自然薯など、地のものを生かした郷土料理の店だ。定食や御膳が中心だが、最近、この店が特に注目を集めているのは、「変わり稲荷」の豊富さゆえ。

 いなりドッグや、季節によって具材の変わる創作いなり、いなりコロッケ、味噌かついなりなど、とにかく「いなり」メニューの豊富なことといったら、門前町随一といってよい。これら全て、女きつね女将のアイディアというから、恐れ入る。

 あれこれ迷うところだが、今回はいなり寿司+うどんのセットにこだわりたい。この組み合わせのセットとしては、4種類の創作いなり寿司に、小きしめんのついた「開運いなり」と、通常サイズのきしめんに2種類の創作いなりがつく「開運きしめん」もあるが、4種類もの創作いなりに惹かれて、「開運いなり」を頼んだ。

 季節によって内容が変わるという「開運いなり」の創作いなりだが、この日は「オクラ梅肉」「五目」「山葵」「サラダ」いなりがついた。店を訪れたのは丁度初夏。新鮮なオクラとさっぱりとした梅肉をまず頂くと、食欲が増してつい箸が進む。五目は牛蒡や胡麻も入っており、様々な歯ごたえや風味が詰まった一品。山葵は、茎山葵も使っているだめ、パリパリとした食感が新鮮だ。

 4種の中でも、サラダいなりは特に秀逸。隠し味程度のほんの少々のマヨネーズにご飯を混ぜて、玉ねぎやきゅうり、人参などのしゃきしゃきっとしたサラダを乗せたものが、油揚げ包まれている。すりつぶしたたっぷりの玉ねぎに油、酢、砂糖、醤油で作った自家製ドレッシングが野菜の旨みの引き立て役だ。

 通常のいなり寿司は甘く炊いた油揚げを使うが、サラダいなりではあえて、油揚げをカラッと焼いてある。表面をカリッと焼いて香ばしさを増した油揚げが、サラダと非常によく合っている。

 ちなみに、サラダと山葵に使っている油揚げは新潟から取り寄せているという大判のもの。香りがよく、油揚げだけでおいしく頂ける。梅肉と五目で使用している油揚げは地元産で、こちらはこちらで、煮汁をよく吸って旨みを溜め込んでおり、中の酢飯とのバランスがいい。サラダ以外の炊いてある油揚げは、比較的あっさり味で、べたつくような後味もないのがいい。

 きしめんの汁は甘めで薄口の関西風。使用しているのは、愛知県西尾市の醸造元「はと屋」(文久元年創業)の白醤油。昆布出汁に深みを与えつつ、あっさりとした汁に仕上げてある。

 いなり寿司ときしめんという軽食ながら、味と内容の充実ぶりに、すこぶる満足することができる。また、セットメニューではないが、ホットドッグにヒントを得たという「いなりドッグ」も好評。店内で頂くこともできるが、店頭で買って門前町を散策しながら食べ歩くこともできる。

 「おからコロッケ」と、「カツ(紫蘇入り)」の2種類があり、こちらにもサラダいなり同様、たっぷりの野菜と自家製ドレッシングが使われている。おからコロッケ、しかもそれがいなり寿司だなんて…と思われるのはごもっとも。しかし、これが意外なほどよく合うから摩訶不思議なのだ。

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matsuya-kaiun-inari.jpg「開運いなり」。いなり寿司は手前から「オクラ梅肉」「山葵」「サラダ」「五目」。
matsuya-inari-dogs.jpg「いなりドッグ」2種。手前「おからコロッケ」、奥「カツ」。

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曽我の軒
  料理: 鰻まぶし稲荷きしめん(1200円)、味噌かつ稲荷きしめん(880円)他
  住所: 愛知県豊川市門前町46
  電話: 0533-86-2688
  営業時間: 10:00~20:00
  定休日: なし
  URL: http://www.yui.or.jp/~soga/

 豊川稲荷門前町には、いなり寿司、うどん(またはきしめん)、鰻を看板にしている店が多いが、その中でも最初に鰻屋として開業したのが、創業90年ほどの曽我の軒だ。「当店が鰻を最初に始めて、以来、他店でも鰻料理を扱うようになったようです」と語るのは、門前町でも屈指の美貌を誇るこの店の看板娘にして、四代目若旦那の妹さんだ。

 初代の女将さんが浜名湖周辺の出身であったため、豊川稲荷門前町の家に嫁いだ際、鰻料理屋を始めた、というのが曽我の軒の鰻由来譚だ。遠州出身の女将さんであったため、店名も遠州屋にしようか、苗字をとって曽我の軒にしようか迷った末、後者にしたのだそう。

 ということは、狂歌師の大田南畝が豊川稲荷門前町に鰻を紹介したという話は、後世のフィクションなのだろうか。寛政13年(1801)に南畝が東海道の旅の途中、新居宿で鰻を食べていたく気に入り、その後立ち寄った豊川稲荷でも土地の人々に鰻がいかにうまいかを吹聴して回ったため、門前町で鰻料理が供されるようになった、というのが通説なのだが。

 もしかしたら、江戸時代にも既に門前町に鰻屋はあったが(そしてそれは南畝が立ち寄った後からの流行だったのかもしれない)、現在残っている鰻屋としては、曽我の軒が最も古い、ということなのかもしれない。いずれにしても、門前町で一番古い鰻屋らしく、曽我の軒の鰻料理はなかなかのもの。鰻はパリっと香ばしく焼けており、ふっくらとした身からは旨い脂がたれ落ちる。タレもこの地方にしては醤油辛さを押さえてあり、鰻の味を生かしてくれている。

 そんな自慢の鰻を使っているのが、曽我の軒のいなり寿司の特徴。「鰻まぶし稲荷きしめん」のいなり寿司は、炊いた油揚げの中にご飯を詰め、刻んだ葱と山葵、鰻の蒲焼を乗せたもの。まさしく「ひつまぶし」を油揚げに詰めた形で、これが4個ついてくる。香ばしい鰻の蒲焼が、甘く炊いた油揚げによく合っている。

 ひつまぶしは名古屋名物として知られているが(発祥は名古屋ではないらしい)、曽我の軒にはもうひとつ、名古屋名物を流用したユニークないなり寿司がある。

 「味噌かつ稲荷きしめん」のいなり寿司は、その名の通り、味噌をつけたとんかつに芥子を添えて、いなり寿司の上に乗せたもの。こちらのセットは味噌かつ稲荷2個にきしめん、更に豆腐の味噌田楽もついてくる。豊川稲荷門前町で名古屋名物のアレンジ版を頂くことになるとは思いがけないが、これもまた、なかなかおもしろいいなり寿司のスタイルとして、紹介する次第だ。

 ちなみに、いずれのセットでも、きしめんは煮かけか冷やしのどちらかを選ぶことができる。

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カドヤ
  料理: 天むすいなりセット(780円)他
  住所: 愛知県豊川市門前町6
  電話: 0533-86-3365
  営業時間: 11:00~18:00
  定休日: なし

 創業は明治12年(1879)、現当主で三代目という「カドヤ」。創業当時からの建物を何度か改築・改装しているが、急な階段を上ると、細かく分かれた部屋がいくつもあり、料理旅館だった頃の名残を今も留めている。豊川稲荷門前町の他の料理屋同様、こちらも鰻料理が自慢の店だが、例によって「稲荷とうどん」のセットもちゃんとある。

 こちらの名物いなり寿司は、「天むすいなり」。その名の通り、のりとエビの天婦羅を乗せ、名古屋名物の天むす風に仕上げたいなり寿司だ。食べ易い一口サイズにするために、ひとつのいなり寿司を半分に切り、小さくきった味付け海苔を乗せ、その上に半分に切った極小のエビの天婦羅を乗せてある。エビは塩コショウをふってから天婦羅にしたフリッター風だ。

 この天むすいなりときしめんとのセットメニューが「天むすいなりセット」で、きしめんは温かいものか、ざるきしめんのどちらかを選ぶことができる。汁はだしがよく効いているもののややしょっぱめなので、幅広のきしめんが丁度よく合う。きしめんの具は、刻んだ油揚げ、葱、かつお節、蒲鉾、煮椎茸。

 セットには更に、豆腐の味噌田楽もついてくる。ただし、セットは平日のみのメニューなので、注意されたし。

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松屋支店
  料理: 稲荷寿し付きつね(800円)、おきつねバーガー(1個250円)、炙り五目稲荷(1個100円)他
  住所: 愛知県豊川市門前町1
  電話: 0533-85-6922
  営業時間: 9:00~17:00
  定休日: 水曜日

 「松屋支店」は、同じ豊川稲荷門前町の「松屋」の弟さんが経営する店で、豊川稲荷正門前、「山彦」の隣にある。支店の名ではあるが、メニューは「松屋」とは全く異なり、料理屋である「松屋」に対して、こちらは「食堂」といった感じだ。

 そしてこちらの名物はなんといっても、「おきつねバーガー」。バンズ(パン)の代わりにあぶった油揚げでカツやレタス、玉ねぎスライスを挟み、ケチャップをかけた個性派だ。このバーガーを考案したのは、28歳(07年現在)の若き店主・藤井雅大さん。豊川稲荷門前町に相応しく、かつ、若者をも惹きつけることのできるメニューをと考え、油揚げでバーガーを作ってしまった。基本はテイクアウトだが、店内で頂くこともできる。

 元々この店の自慢は、厚さ2センチもある分厚い油揚げ。当初は地元の豆腐屋から仕入れていたが、その豆腐屋が閉店してしまったため、同じような油揚げはないものかと各地を探しあぐねたところ、信州飯田で理想の油揚げが見つかった。

 ふっくら分厚い油揚げは、うどんなどの具にしたり、アレンジ稲荷の皮にして利用しているが、これを2枚を使ったバーガーは、まさにこのこだわり油揚げを楽しむためのメニューなのだ。

 おきつねバーガーの油揚げは、特製のだしに浸しからこんがりとあぶってあり、表面はカリッとして香ばしい。中のトンカツとの相性もなかなか。ただ、ガス火(バーナー?)であぶっているのか、少し匂いが気になるのが難点か…(松屋支店さん、ごめんなさい)。

 さて、バーガーの話はここまでとして、今回の「稲荷とうどん」シリーズのための料理の話に移ろう。こちらのセットメニューは「稲荷寿し付きつね」で、麺はうどんかきしめん、蕎麦のいずれかを選ぶことができる。この店に入る前に、山彦できしめんのセットを頂いたばかりだったので、今度はうどんを選んだ。うどんは、愛知産の薄口醤油を使っており、味はややしょっぱめ。麺は中太麺で、具は葱、蒲鉾、紫蘇、油揚げがのっている。

 また、セットのいなり寿司は、通常は具の入っていない酢飯のいなり寿司「白」か具入りの「五目」のどちらかを選ぶが、訪れた日はそれほど忙しくもなかったのか、「炙り五目と山葵でもいいですよ」といってくれたため、そちらで用意してもらうことにした。

 「松屋支店」の「炙り五目稲荷」は、ひじき、人参、椎茸、炒り卵、胡麻を加えた酢飯の五目稲荷の表皮を、軽く炙ったいなり寿司。

 五目稲荷だけでも充分なのだが、炙ることによって風味や香りを引き出そうというアイディアは面白いが、こちらもやはり、ガスのような匂いが気になるというのが正直なところだ(ごめんなさい)。

 「山葵稲荷」は、通常のいなり寿司に練り山葵と醤油で炊いた葉山葵を乗せたもの。あまりツンとしないので、辛いのが苦手な人でも大丈夫だ。酢飯はやや酢が強めで、ご飯はかなり柔らかい。五目や山葵の他、「松屋支店」の変わりいなり寿司としては「みそかつ稲荷」もある。

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来恩
  料理: 菜めし稲荷(1個100円)、大きつねうどん(680円)他
  住所: 愛知県豊川市門前町10
  電話: 0533-84-8148
  営業時間: 9:00~15:00
          17:00~22:00(団体予約のみ)
  定休日:水曜日

 食事処の連なる豊川稲荷門前町にあって、一際目立つ古風な店構えの来恩。豊川商工会議所による商店街の空き店舗対策事業の一環として、会議所青年部の有志が出資して設立した「ぼちぼち繁盛屋」の経営で、築140年余りの旅籠の建物を改築し、駄菓子屋兼食堂の名目で01年に出発した店だ。もっとも、今は駄菓子の販売はしておらず、食堂だけとなっている。

 玄関を入ると、低い天井や急な階段が目にとまり、いかにも旅籠といった風情。そこに、懐かしいブリキの看板やおもちゃなどがそこかしこに展示されていて、レトロな雰囲気をかもし出している。

 それでいて、並べられたテーブルやメニューの様子は、レトロとか古色とかそういったものではなく、ごくごく普通の「町の食堂」風。旅籠、昭和レトロ、あまりにも普通の食堂、というアンバランスさが売りなのかもしれない。

 さて、そんな不思議な食堂・来恩の名物はというと、「菜めし稲荷」と「元祖大きつねうどん」。来恩にはこのセットメニューがないため、それぞれ単品で注文した。

 「菜めし稲荷」は、その名の通り菜飯を油揚げに詰めたお稲荷さん。菜めしといえば、お隣の豊橋の名物として知られている。それを、門前町名物の稲荷寿司として応用したというわけだ。地元産の大根の葉と黒胡麻を混ぜた菜めしというが、非常にさっぱりとしている。むしろ、あまりインパクトを感じないというべきか。

 「元祖大きつねうどん」は、丼を覆うほどの大きな油揚げを炊いて、丸ごと、でーんと乗せたうどん。しこしことコシのしっかりとあるゴン太麺だ。油揚げは甘すぎず、かつ出汁の味がしっかりとしみ込むように炊いてあり、食べ甲斐がある。惜しむらくは、うどんの汁がしょっぱ過ぎること。別に頼んだ稲庭うどんに関しては、それほどしょっぱくなかったので、「元祖大きつねうどん」の場合は太いうどんに合わせて、汁も塩を利かせているのだろう。

 ちなみに、元祖とつくのは、この門前町の中では他にこういったスタイルのうどんがないため。なぜか、稲荷寿司を食べさせる店は多いが、稲荷うどんが意外なほど少ないのだ。

 余談だが、来恩には、「お薬師だんご」なる名物団子もあるらしい。門前町のお堂に鎮座する薬師如来像に因んで命名した、みたらし団子で、タレには地元豊川特産の青紫蘇が加えられているとか。残念ながら、門前町を訪れる度にこの団子があるか店先で聞いているのだが、未だ出会ったことがない。売り切れるというより、普段はほとんど作っていないらしい。正月など、参拝者、観光客の多い時だけの商品のようだ。

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お食事処 なかよし
  料理: 稲荷うどん(850円)、うな丼(1300円~)他
  住所: 愛知県豊川市門前町41
  電話: 0533-86-2783
  営業時間: 11:00~17:00
  定休日: 不定休

 戦後すぐの創業。元々は串カツやおでんなどを肴に出す居酒屋のような店として出発したが、後に芸者も出入りする割烹料理屋に発展した。一時期は寿司屋もかねており、豊橋の旧駅ビルの中にも寿司屋の支店があったという(現在の駅ビル「カルミア」になってから撤退)。現在は二代目の女将さんと三代目の若女将が中心になって、食堂形式で商いをしている。

 また、店名の「なかよし」は、苗字かと思いきや、「仲良しこよし」の「仲良し」の意で、同じ豊川稲荷門前町の別の通りには「こよし」という支店もあったが、何年か前にそちらも畳んで、今は「なかよし」一本で営業している。

 現在のこの店の売りは、鰻。鰻料理屋としての歴史はさほど古くないが、背開きで関東風に焼いた鰻はふっくら、ジューシーで評判を呼んでいる。三河では醤油辛いタレが定番だが、こちらのタレは少し甘めで、頂やすい。

 鰻がメインの店だが、他店と足並みを揃えて「稲荷とうどん」のセットもある。その名も、ストレートに「稲荷うどん」。稲荷は、何の具も混ぜていない酢飯をあっさりと炊いた油揚げに詰めたごくシンプルなものが3つつく。 

 うどんは一般的な中太麺。白醤油を使っている店が多い豊川稲荷門前町には珍しく、茶色い通常の醤油ベースの汁で、かつお出汁がよくきいている。わかめ、刻んだ油揚げ、かつお節、蒲鉾が乗っており、こちらもシンプル。好みで刻んだ青葱をかけて頂く。煮かけかざるのどちらかを選べる。

 この飾り気のなさはまさに「食堂」で、門前町がどうのとか、観光地がどうのとかいった気取りは一切ない。男性にはむしろ、こういった店の方が入り易いのでは。

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