和菓子街道 東海道 関

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江戸時代の町並みがそのまま残る関の宿

 亀山からの味気ないアスファルト舗装を踏みしめながら、歩き続けること約3キロ。仇討ち少女小万がもたれかかったといわれる松(しかし今生えているのは若い木だ)を過ぎ、しばらく行くと、江戸から47番目の宿場町、関宿に辿り着く。関宿の入口、鳥居のある東の追分から分岐する道を下れば、伊勢別街道だが、もちろん真っ直ぐ、宿場内へと歩みを進める。

 関は古くから交通の要所として重視され、その名も壬申の乱(672年)の頃に古代三関のひとつ、伊勢鈴鹿の関が置かれていたことに由来する(他の二関は美濃不破、越前愛発)。江戸時代にも東の追分からは伊勢別街道、西の追分からは大和街道が分岐し、各方面からの旅人が集まる活気溢れる宿場であった。

 美しい格子戸の並ぶ関の町並みは整然としており、どこか凛とした空気が漂っている。軒下に幕板や出格子を備えた町家や、塗籠造、真壁造の荘厳な家々が軒を連ねる全長約1.8km町並みは、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されており、旅人達が行き来した関宿の昔を今に伝えている。凛とした空気はきっと、この町を守ろうとする人たちの気持ちの表れなのだろう。

 江戸末期の町家を公開する「関まちなみ資料館」、関随一の大旅籠玉屋(「旅籠玉屋歴史資料館」)、天平13年(741)開創の地蔵院(愛染堂は国重要文化財)など、見所も多い。じっくり散策すれば半日以上を要してしまうが、これから先は鈴鹿峠が待っている。名残を惜しみながらも関をあとにし、目の前に聳える高い山に向って進むことにしよう。

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 ・深川屋 「関の戸」

     380余年の歴史を誇る鈴鹿銘菓 → click!

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その他のおいしい立ち寄り情報

前田屋
  菓子: 志ら玉(1個85円、箱入り6個600円~)他
  店内茶房: 志ら玉と抹茶のセット(志ら玉1個付370円)他
  住所: 三重県亀山市関町中町407
  電話: 0595-96-0280(中町) 0595-96-2008(坂下)
  営業時間: 10:00~18:00
  定休日: 年中無休
  URL: http://www.maedayaseika.com/

 関宿の町並み散策で足が疲れてきた頃に、ちょっと寄り道したいのがこちら。かつて三宅菓子匠が作った「白玉」を前田屋製菓が改良を重ねて復活させたのが名物の「志ら玉」だ。

   「志ら玉に旅はるかなる宿場まち」

 と歌にも詠まれた関宿の名物菓子で、由来は定かではないが、一説には三種の神器(剣、鏡、勾玉)の中の勾玉をイメージして考案されたとも言われている。漉し餡を包んで真ん中をちょこんとへこませた真っ白な米粉の団子餅に、赤や黄色、緑に染めて四季を表した米粒状の米粉の生地をのせた姿が可愛らしい。見た目は「伊賀餅」のようだが、伊賀餅は染めたご飯粒を表面に散らすが、志ら玉は染めた米粉の生地を小さくちぎってのせてある。

 店内では、緋毛氈を敷いた腰掛けに座ってお抹茶と共に「志ら玉」を頂くこともできる。江戸時代の旅人も、こんな風に鈴鹿峠を見上げながら志ら玉をお茶請けに一服したのだろう。



(お菓子の写真をクリックすると大きくなります)

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会津屋
  料理: 街道蕎麦とおこわのサービスセット(1400円)他
  住所: 三重県亀山市関町新所1771-1
  電話: 0595-96-0995
  営業時間: 10:30~17:00
  定休日: 月曜日(祝日の場合は翌日休み)
  URL: http://www16.ocn.ne.jp/~aizuya/index.htm

 関の宿場町の西の外れにある会津屋の前進は、鈴鹿馬子唄に唄われる女剣客・関の小万の生家、山田屋である。会津屋となってからも歌に唄われるほどの評判の旅籠であったが、現在も街道歩き御用達の蕎麦処として人気が高い。この店でのお薦めは、街道蕎麦とおこわのセットだ。おこわは通年頂くことができる五目おこわと季節のおこわがあるが、いずれも店の奥で女将さんが昔ながらの竈で微妙な火加減を見ながら釜炊きしている。

 女将さんが会津屋にお嫁に来た当初、炊飯器なるものが出回り始めた。「夜セットしておけば朝炊けているという優れもので、これは利用価値ありと思って、さっそく導入してみたんですよ。でも、あれは失敗でしたねぇ(笑)」と女将さん。やはり釜で炊かないと、納得のいく味が出ないのだという。私が訪れた頃、季節は丁度秋。店の奥では女将さんが、汗を流しながら竈に薪をくべていた。

 「あと少しで栗おこわが炊き上がりますよ」という女将さんの言葉に、少し思案した。栗おこわも食べたいが、定番の五目おこわも捨てがたい。五目おこわは既にできあがっているというので、お店では五目おこわと蕎麦のセットを頼み、栗おこわは折に詰めてもらって持ち帰ることにした(お持ち帰り可)。テーブルに運ばれてきた五目おこわは、ふっくらと炊き上がっており、それでいて一粒一粒が適度な歯ごたえを残していて、噛むほどに味が出る。蕎麦の出汁は関西風の薄味で、これもおいしい。出汁ももちろん、女将さんが朝から仕込んで作る。

 正直なところ、観光地となっている関だから、ここも観光客向けの店なのだろうと高をくくってこの店に入った。しかし、実際には、丁寧な仕事をこなし、遠来の客をもてなしてくれる温かい店だった。帰りの電車の中で、待ちきれずに栗おこわの折を開いてしまったが、少し冷えたおこわを噛み締めながら、薪をくべる女将さんの姿を思い出していた。


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